さて、プレイレポート3回目です。前回ダーヨ達は、魔女を倒すことに成功しましたが、その後魔女の置きみやげのような罠で、洞窟から出られなくなりました。赤速とスタブの2人を仲間に加えた一行は、脱出路を求めて、洞窟の奥深くへと進んでいきました。
★ 注意事項 ★
このプレイレポートには、思いっきりネタバレがありますので、まだ未プレイの方はマスターに確認をとってから読むことをお勧めします。
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魔女の罠
蛸頭の怪物を倒した一行は、奥の扉へと進んでいった。扉の向こうは短い廊下になっていて、すぐ扉があった。
その扉には、1本の短剣が刺さっていた。見たところ何の変哲もないごく普通の短剣だ。何でそんな物が扉に刺さっていたのか判らないが、おそらく何かを扉に留めておいたのだろう。
そう思った一行は、扉の前に何か落ちていないか探してみたが何もなかったので、先に進むことにした。
扉の向こうは少しの間真っ直ぐ廊下が続き、そして丁字路になった。丁字路の左右の通路はこれまでの2倍の幅があり、光の届く所よりむこうに延びていた。どちらも同じようなので、一行はまず左の道へ進んでいった。
しばらく行くと通路は行き止まりになっていて、行き止まりの壁にはジャイアントが使うような巨大な鉄製の盾が掛けてあった。盾の表面は鏡のように磨かれていた。何か意味があるのかもしれないが、とても持っていけないので、放置することにした。
そのほかには何も無いようなので、一行は来た道を戻り、丁字路の右側へと進んでいった。
丁字路の右側をしばらく行くと、突き当たりに今度は扉があった。扉は何故か普通サイズで、通路の半分ぐらいの大きさしかない。一行は、通路が巨人サイズなのに扉が通常というのは何か変だなと思いつつ、扉へ近づいた。
扉を調べると、特に罠はないようで、鍵も掛かっていなかった。警戒しながら扉を開けた。
ふと、開けた扉の内側を見ると、そこには1枚の羊皮紙がピンで留めてあった。近くにいた赤速が、何気なくその羊皮紙を手に取り読み始めた。
すると、赤速の顔が青ざめていき、目は恐怖に見開かれた。
「これを見て!」
赤速は、羊皮紙をみんなに見えるようにして言葉を続けた。
「文字がどんどん消えていく!あぁ神様、いったい僕は何をしてしまったのですか!?」
そう言うと、赤速は放心状態となり、膝から崩れ落ちた。ジャッジが羊皮紙を赤速から取り上げて、読もうとしたが、既に文字はすべて消えていた。
ダーヨは赤速に、羊皮紙には何が書いてあったのかを尋ねたところ、赤速はぽつりと言った。
「“いにしえの死の呪文”だ。みんな感染してしまったかもしれない」
赤速に詳しいことを聞くと、次のことがわかった。
この“いにしえの死の呪文”(エンシェント・デス・スペル)には、魔法の疫病のような作用があり、しかも、その効果はいつ現れても不思議じゃないという凶悪な呪文だ。
そして、その治療法を知っているのは、“癒し手ヨリター”ただ一人だけだが、幸いにも赤速とその兄の奏皮(トネリコ)が育った家の近くに彼の住まいがあったので、彼を知っている。
癒し手は今、月岩山地のヨーヴィク峰近くの洞窟で暮らしているので、一刻も早くそこに行かなければならない。
思いもよらぬところで、大変なことになってしまった。これも雪の魔女の置きみやげの罠なんだろう。一行は気を取り直して、先へ進むことにした。
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プレイヤーの声
ここで、速水螺旋人氏のリプレイ漫画にあった左往が発生しました。(ちなみに右往は、前回のネアンデルタール人戦です)
起こってみるまでは判りませんでしたが、私たちはリプレイ漫画でそういうことがあることを知っていたので、これらのことを笑いながら受け止めることができました。
しかし、何も知らずに喰らったら、速水氏のリプレイのPC達のように怒り狂っていたことでしょう。
速水氏が漫画で書いていたようにPCを陥れるのにこんな方法があったとは、メリケーンなシナリオは日本人の感性とは異なるので、非常に恐ろしいもののようです。
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開けた扉の向こうには、広い自然洞窟が広がっていたが、見たところ特に敵の姿はなく、洞窟の奥には扉があり、そこから先に進めそうだった。
また、この洞窟全体からは、つーんと酢のような臭いがしていて、天井からぶら下がった鍾乳石の先からは何か液体が間断なく滴り落ちていた。
ダーヨは何かいやな予感がするので、保存食を取り出して洞窟に投げ込んだ。すると、保存食は鍾乳石からの滴りに触れると煙を上げて溶け始めた。
この液体が強い酸だと判った一行は、何とか突破する方法を考えた。するとジャッジが、先に見つけた巨大な盾のことを思い出した。あれを傘代わりにすれば、全員が酸の雨を浴びずに洞窟を抜けることができる。
一行は、巨大な盾を手に入れるため来た道を戻った。
再び巨大な盾の所に来た一行は、急いで盾を壁から外した。すると一陣の風が吹き荒れた。そして、それは渦を巻きながら形をなしていった。(下図)

「こいつはエア・エレメンタルだ!それも大きいぞ!!」
マイケルがそう叫ぶと呪文を唱えるため後ろに下がった。ダーヨ、ブルーガ、ジャッジ、スタブが近接戦を挑み、赤速は得意のロングボウで射撃をした。
しかし、赤速の放った矢は、すべてエレメンタルの手前で止まり、地に落ちた。同様にスタブの攻撃も全く効き目がないようだ。
どうやらこいつは、魔法の武器でしか有効な打撃を与えることができないようで、ダーヨ、ブルーガ、ジャッジの3人の攻撃はダメージを与えていた。(下図)

その後、マイケルの呪文で魔法の犬を召喚し、フランキングをとるようになった後、攻撃が確実に当たり始めた。スタブの攻撃もクリティカルしたものが効いているようだった。
(下図)

エア・エレメンタルは、この状況を不利と思ったのか、その姿を竜巻に変え、全員を吹き飛ばしにかかった。この攻撃で吹き飛ばされるとダメージが大きく、これを喰らったジャッジは大ダメージを受けた。
しかし、エレメンタルの反撃もここまでで、ダーヨとブルーガの連続攻撃で、大ダメージを受けて消滅した。
ブルーガとジャッジのダメージを回復した後、一行は手に入れた巨大な盾を抱えて、唯一の出口と思われる酸の雨降る洞窟へと戻っていった。
全員がすっぽりと収まる巨大な盾のおかげで、酸の雨を浴びることなく、洞窟を突破することができた。(下図)

酸を浴びた盾は、音を立てて溶けていったが、何とか扉まで持ちこたえた。扉には鍵が掛かっていたが、ブルーガがあっさりと鍵開けに成功した、
扉の向こうは、曲がりくねった通路が続いていた。この通路は、先ほどと同じ通常の倍(20フィート)の広さがあった。
一行は、酸を避けるのに使ってぼろぼろになった盾を捨てて進んでいった。ジグザグに折れ曲がった通路をしばらく行くと大きな両開きの扉で行き止まりになった。
最後の決戦
両開きの扉には鍵が掛かっていなかったので、開けて中に入ると、そこは広い円形の部屋で、壁はびっしりと氷で覆われていた。部屋の真ん中には、大きなガラス玉が氷の台座に乗せられていてた。また、向かい側の壁にも両開きの扉があった。
突然、向かい側の両開きの扉が開き、1匹のオークが駆け込んできた。すると、ガラス玉が発光しだし、中に何かが渦巻いていた。それはみるみるうちに像を結び、顔の輪郭となって浮かんできた。その顔は、先ほど戦った“雪の魔女”だった。
ガラス玉の雪の魔女の顔がはっきりしてくると、ガラス玉から甲高い声で高笑いが聞こえてきて、円形の部屋中に響き渡った。
魔女は、ひとしきり高笑いをした後、語り始めた。
「そちどもに、殺されはしたが、わらわはまだ負けておらぬ。そちどもを始末するなど、わらわの魂だけで十分じゃ。さあ、見るがよい」
その言葉が終わると同時に、ガラス玉の傍らにいたオークが、金属の首輪をつかんで苦しそうにあえぎ始めた。
オークは首輪が締まるのを押しとどめようと必死にもがくが、そうしていくうちに顔が膨れあがり、床に倒れた。(下図)

雪の魔女の幻影は、もがいているオークを冷たくせせら笑いながら言った。
「もはや、下僕どもに用など無いわ!」
その一言と同時に、赤速とスタブは喉元に手をやり、苦しみ始めた。ダーヨは、魔女のガラス玉に向かって叫んだ。
「そんなことをしておもしろいのか!?おまえは、おまえを倒した私たちに復讐したいんだろう?それなら関係のない者を苦しめるより、私たちと直接戦ったらどうだ!!」
それを聞いた魔女は、赤速とスタブの首輪を緩めて言った。
「そうか、まずは奴隷どもと戦うが良い。その間にわらわが良き遊びを考えておく。いかさまなしの勝負じゃ。そちどもが勝ったら自由にしてやらんでもないぞえ」
魔女がそう言うと、奥の扉から足を引きずりつつ何者かが部屋に入ってきた。一見ドワーフとエルフが一人ずつだが、そのまなざしは虚ろで、肌も灰色がかって生気がなく、どう見てもゾンビとしか見えなかった。
2体のゾンビは、ダーヨ達に襲いかかったが、彼らの敵ではなく一刀のもとに斬り捨てられた。
ゾンビを倒すと、雪の魔女はこう言った。
「皆の者よいかよいか。この遊びにいたすぞえ。わらわの水晶の洞窟を巡るなかで、いくつか金属板が見つかったであろう?ル-ルはこうじゃ。そちたちの一人が金属板を選び、手の中に隠しておく。そこでわらわが、ある形を宣言する。四角形は円形に勝ち、円形は星形に勝ち、星形は四角形に勝つ。もし、そちたちが勝ったら、脱出の機会を与えてつかわす。わらわが勝ったなら、そちたちの命はないぞえ」
ダーヨ達は、顔を見合わせた。手元にある金属板は、蛸頭の怪物がいた部屋で見つけた四角形のものだけ。これでは勝負にならないのは明白だ。
“やるしかない!”
ダーヨが目配せしてガラス玉に斬りかかると、それが引き金となり、ブルーガとジャッジも一斉にガラス玉に斬りかかった。マイケルは後方から呪文で援護した。
斬りかかろうとすると、ガラス玉から電撃がダーヨに向けて放たれた。とっさに身をかわしたので、電撃はダーヨをかすめて飛び去った。(下図)

ダーヨはガラス玉に斬りつけたが、思った以上に硬く、まったく傷が付かなかった。ジャッジの攻撃も同様だったが、激怒状態のブルーガの攻撃だけが少しは効いているようだった。
ガラス玉の電撃は、かすめただけでもダメージがあり、攻撃力は高いが、防御面で問題のあるブルーガには、耐えられないだろう。そこで、ダーヨとジャッジがガラス玉の攻撃を引き受け、その後ブルーガが攻撃するというパターンでガラス玉を攻撃した。
そして、ブルーガのグレートアックスが、ガラス玉の芯を捉えた時、ガラス玉は粉々に砕け散った。
同時に鋭い絶叫が部屋中にしばし響き渡り、静かになった。今度こそ魔女を葬り去ったのだった。
しかし、感慨にふける間もなく、今度は洞窟全体が轟音と共に揺れ始めた。魔女の洞窟が崩れ始めたのだ。
一行は、大急ぎで奥の扉から一面氷に覆われた天然の洞窟へと駆けだした。赤速とスタブも何とか立ち上がり、後に続いた。
しかし、氷でつるつるになっている床に足を取られ、思うようには進むことができないスタブの頭上に天井から氷塊が崩れ落ちてきた。
近くにいたジャッジが、とっさにそれを払いのけたが、さらに大きい氷塊がジャッジを襲い、ジャッジは何とかそれを受け止めた。しかし足が止まったところに次々と氷塊が降ってきて、とうとうそれに押しつぶされた。
スタブはジャッジを助けようとしたが、次々に降ってくる氷塊にどうすることもできず、ジャッジの最後の言葉「早く逃げろ!」に従うしかなかった。
そうして、一行は貴い犠牲を出しながら魔女の洞窟を脱出した。
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プレイヤーの声
こうして、シナリオの前半部分“雪の魔女の洞窟編”が終わりました。速水螺旋人氏のリプレイ漫画(下図)でも、ここで2人失っています。

速水氏のリプレイでも魔女との“じゃんけんゲーム”に使う金属板を全く手に入れていないようだったので、よほど注意深く探さないと見つからないのでしょう。
しかし、ガラス玉の特殊能力は凶悪です。私たちは、構成メンバーの特殊能力をフルに使い、力押しで破壊しましたが、(速水氏達も?)攻撃力が足りない状態で戦闘になっていれば、ガラス玉に傷1つ付けられない状態で全滅でした。
今更ながら、ゲームブックが元のシナリオは、恐ろしいものだと実感しました。
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魔女の洞窟を脱した一行は、来たときとは一変した光景に驚いた。頭上には青空が広がり、雪も止んでいた。日差しに暖められて気温も徐々に上がり始め、春の訪れを告げているかのようだった。また、どこからか小鳥のさえずりが聞こえ、遠くには雪ウサギが一行を物珍しそうに眺めていた。
一行は、今更ながら魔女の洞窟から生還できた喜びを実感した。赤速とスタブは、自由の身になったことをそれぞれの信じる神に感謝していた。ダーヨ達3人は、この喜びを共に分かち合うことができなかったジャッジの冥福を祈った。
しばし感慨にふけった後、一行はこれからのことを話し合った。まずは、魔女の洞窟で掛けられた“いにしえの死の呪文”を解いてもらうため、月岩山地に住む癒し手“ヨリター”の所へ一刻も早く行かなければならない。
月岩山地は、この氷指山脈から南へ数日の所にあるが、その途中には、邪悪な魔法使いの迷宮があると言われている“火吹山”があり、街道はこれを大きく迂回し、赤水川のほとりにある“ストーンブリッジ”の町に続いている。
スタブは、自分はそのストーンブリッジの出身であることを告げ、町に着いたらみんな魔女を倒した英雄として大歓迎を受けるだろうと言った。
歓迎はありがたいが、一行にとって今は“いにしえの死の呪文”を解いてもらう方が重要なことなので、それには誰もあまり興味を示さなかった。
そして、ダーヨ達は全員揃って山を下り始めた。下山途中、ダーヨはビッグ・ジム・サンと彼に預けてきた愛馬ブライアンのことを思い出した。ビッグ・ジム・サンは、きっと自分たちが雪山で死んでしまったものと思っているだろうし、ブライアンとは下山後に呼べば、合流できるだろう。
一行は、これからの道中の困難さとその対処を考えながら、黙々と山を下りていった。
荒野の旅路
一行が雪の魔女の洞窟を脱し、月岩山地を目指して南下を続けてから2日がたった。その間の道中は、幸い何事もなく過ぎ、途中ダーヨは、愛馬ブライアンを呼び寄せることができた。そして、一行はついにコク川までたどり着いた。
赤速の話によると、ここから80キロほど上流にファングという町があり、そこにはサカムヴィット公が作り上げた悪名高い“死の罠の地下迷宮”があり、毎年迷宮探検競技への挑戦者を待ち受けているのだが、今の時期には特におもしろい場所ではないそうだ。
また、スタブはストーンブリッジに行き着くためには、どこかでこのコク川を渡る方法を考えなければならないと主張していた。
とはいえ、コク川は泳いで渡るには川幅は広く、流れも速そうだし、第一スタブは泳げない。
赤速が、“川沿いに下っていけば浅瀬があるに違いない ”と言うので、一行は川を下っていくことにした。
しばらく川沿いに進んで行くと、川岸に大きな筏がもやってあるのを見つけた。近づいていくと、その上で一人の男が寝ているのに気づいた。
ダーヨがその男に川を渡らせて欲しいと頼んだところ、男は「今日は休業日だ」と言った。交渉の結果、一人当たり5gpで筏を出してくれることになった。
一言で言えば暴利だが、一刻も早く先に進みたいので、言われるままに金を払い、川を渡ることにした。
渡し守に大金を払い川を渡った一行は、ストーンブリッジへの道を急いだ。街道をしばらく進むと、遠くから馬の群れが駈けてくる音が聞こえてきた。その音の主が何者か判らないが、一行はトラブルを避けようと茂みに身を隠した。
蹄が土を蹴立てる地響きが大きくなってくると、音の正体が見えてきた。4頭からなるケンタウロスの一団だ。
ケンタウロス達は、それぞれ肩に弓をぶら下げ、槍と盾を持っていた。彼らはダーヨ達が隠れている茂みの近くまで来ると、横一列に並び足を止めた。
そして、1頭のケンタウルスが前に進み出て、太くドスの効いた大声で怒鳴った。
「そこのエルフ!それで隠れたつもりか!!」
赤速が見つかってしまった。見ると、赤速が潜り込んだ茂みからマントがはみ出していた。ケンタウロスは、さらに大声を出した。
「俺の名はランガード、この異教平原で何をしておる。白状せい!!」
その声に怯えた赤速は、茂みからごそごそと出て、水晶の洞窟から来たことをぺらぺらとしゃべり始めた。それを聞いたランガードは、醜い刀傷のある凶悪な顔に意味ありげな笑みを浮かべ、洞窟で財宝を見つけたのではないかと質問を続けた。赤速は、その質問にもぺらぺらと答えていた。
ダーヨは、このケンタウロスの正体を探るべく、ディテクト・イビルの呪文を唱えた。すると、このケンタウロスは、全員邪悪な存在であると反応があった。このケンタウロス達は、ただの盗賊団だ。
そう判断したダーヨは、茂みから飛び出し「汝は邪悪なり!」と叫んで斬りかかった。
ブルーガとスタブもそれに続いた。(下図)

そして、斬り合うこと数合でケンタウロスの盗賊団を撃破した。思わぬところで時間を取ったので、先を急ぐことにした。
謎の老人
ケンタウロスとの戦闘後、すこし街道を進んで行くと、前方から何者かが近づいて来るのが見えた。よく見ると、それは肩にずた袋を担いだ小柄な人間の老人だった。その老人は一行に近づいてくると話しかけてきた。
「武器はしまいなされ。わしなど殺しても何にもなりませぬぞ。わしが差し出せるのは情報のみ。教え賃は、金貨2枚じゃ。旅のお方、安心召されよ。払って後悔はさせませぬぞえ」
いかにもインチキくさい売り口上に一行はどうするか相談した結果、ダメもとのつもりで老人に金を払って情報を聞くことにした。
老人は、「この道を南に進むと泉があるが、その水は毒が入れられているので飲んではならぬ。」とだけ言って、歩き去っていった。
やはり詐欺にあったような気がしたが、一行は老人を見逃して先へ進んだ。
しばらく進んでいくと、上空から何かバサバサと音が聞こえてきた。見上げてみると、翼の生えた生き物が4体ぐるぐると旋回していた。緑色の体をし、膜状の翼を生やしたそれはバードマンだった。
バードマンは、背中の翼をつぼめて急降下で襲いかかってきた。しかし、一行の敵ではなく、まさに鎧袖一触、ダーヨとブルーガの一撃で全滅した。
バードマンとの戦闘後、少し進むと前方で道が落ちくぼみ、天然の泉になっているところに着いた。泉には1匹のオーガがうつ伏せに顔を水につけたまま動かないでいた。
一行が注意しながら近づくと、どうやらそのオーガは死んでいるようだった。
どうやら、これが先に老人が言っていた泉のようだ。一行は泉に構わず先を急いだ。
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プレイヤーの声
荒野の旅路編に入り、これまでは分刻みだった時間の進み方が、時間単位に変わりました。
やはりここでも、次々に試練が襲いかかってきますが、引っかけのつもりなのか、キャラのレベルにふさわしくない弱いモンスターも含まれています。
しかし、相変わらず赤速のまぬけぶりは元ネタ以上で、ケンタウロスとの遭遇でもダーヨの馬も成功した“隠れる”判定に唯一人失敗するなど、ここぞという所で必ず判定にしくじっていました。
また、後からゲームブックをプレイして判ったことですが、原作では毒の泉の前に強烈な暑さでキャラクターはのどの乾きに襲われているので、泉の水を飲まなければダメージを受けたのですが、このRPGでは、そんなペナルティは全くないので、オーガの死体を見ただけで誰も水を飲まないだろうことは明らかです。
RPG化に当たり、老人の情報と合わせて、もう一工夫欲しいところでした。これも移植の際にテストプレイが不足しているのではないかと思われます。
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ドワーフの領域
毒の泉を後にした一行は、その後は特に問題なく順調に進むことができた。スタブが、「この分なら明日の朝早くにストーンブリッジへ着けそうだな。しかし、不思議だ。わしの同族の誰とも会わんとは」と言いだした。
それを聞いた赤速は、「いや、会ったさ。でもまさか、こういう形で会うとはね」とうめくように言った。そして150メートルほど西にある巨岩を指さした。
一行は、その巨岩に近づいていったところ、血まみれのドワーフの死体が岩にもたせかけてあることが判った。その死体は、頭は垂れて、手には斧を握ったまま硬直していた。
それを見たスタブは、大慌てで死体に駆け寄り、それが誰かを確認した。
「鍛冶屋のモーリだ。ヒルトロールどもの仕業に違いない。」
スタブは、しばらくの間大声で泣きわめいた。そして、涙を拭って言った。
「これは、ストーンブリッジに急がねばならん。だが、その前にモーリを埋めてやらねば」
一行はモーリを埋葬し、持っていた斧と兜で墓標を立てた後、ストーンブリッジへ向けて出発した。スタブは一行の先頭に立ち、これまでにない勢いで道を急いだ。
一行はしばらくの間、スタブの勢いに引っ張られて猛スピードで道を進んでいったが、ペースを無視した歩みのため、次第に疲れが溜まってきた。
日も西に傾いてきたこともあり、夜間にこれ以上進むのは危険だとスタブを説得し、この日は夜営することにした。スタブは張りつめていた糸が切れたようにその場にへたりこんだ。
そこで、赤速が先行して夜営に適した場所を探しに行き、他の者はスタブの回復を待って後を追いかけることにした。
しばらくして、何とかスタブが動けるようになったので、赤速を追いかけて行くと、赤速は既に夜営の準備を終えて、他の者を待っていた。
そうして、日がとっぷりと暮れてこの日は休むことになった。ドワーフの領域に入ったとはいえ、この辺りにはヒルトロールがうろついているので安心はできない。昼間の相次ぐ戦いで魔法を使い果たしたマイケルは眠らせることにし、その他の4人で交代して夜警をすることにした。
そしてその夜、まさに草木も眠る丑三つ時(午前2時頃)にそれは起こった。その時はブルーガと赤速が夜警の番で、2人は遠くからオオカミの遠吠えが聞こえていたので、オオカミの襲撃があるかもしれないと、遠吠えのする方に注意を向けていた。
すると突然、赤速が背後から何者かに襲われた。見ると、襲撃者は直立したオオカミのような奴だった。(下図)

こいつは、ワーウルフ(狼男)だ。完全に不意をつかれた赤速は一撃で瀕死の重傷を負った。
赤速があげた叫び声で、ダーヨとスタブは目を覚ました。ブルーガがワーウルフに斬りかかったが、大きなダメージは与えられなかった。
ダーヨとスタブもワーウルフに斬りかかったが、普通の武器しか持たないスタブの攻撃は、全くダメージを与えられなかった。
そうして、数合い斬り合った後、何とかワーウルフを倒した。赤速とブルーガがワーウルフに噛まれ、ブルーガは持ち前の強靱さから何とかライカンスロープ病に感染しなかったが、赤速は病気に感染してしまった。
ダーヨは赤速の病気を治そうとしたが、ライカンスローピーはただの病気ではなく、呪いの一種なので、ダーヨはまだ直せなかった。
これは、“いにしえの死の呪文”だけでなく、ライカンスロープも癒し手に治してもらう必要が出てきてしまった。
ストーンブリッジへ
翌朝になり、一行は早々に夜営地を引き払って、ストーンブリッジ目指して出発した。
数時間、歩き通しで進んだころ、スタブがずいぶん興奮してきた。もうすぐ家に帰れるのが嬉しいのだ。だが、すぐに顔を曇らせた。死んだ友のモーリのことを思ってか拳を振り上げて「ヒルトロールどもめ、許さんからな!」と吐き捨てるように言った。
その時、赤速が道の先を指し示した。見ると遠くの空にかすかに一条の煙がたなびいていた。
「おおっ、あれこそストーンブリッジだ!」
スタブはそう叫ぶと、故郷の街へと掛けだした。しかし、すぐに立ち止まり、遠くの一点を指さして言った。
「みんな見てくれ!ヒルトロールの一団がストーンブリッジに向かっているぞ。あいつらをやっつける手伝いをしてくれ!!」
スタブは、そう叫ぶと、ヒルトロールの一団に向けて突進した。一行もスタブに続いて、ヒルトロールめがけて駆けだした。
ヒルトロール達も一行の接近に気づき、この新たな目標へ向かってきた。(下図)

ヒルトロールは全部で6匹いた。1匹でも強力なモンスターが6匹もいるので、まともに戦っては勝利は難しい。そう考えたマイケルは、新たに覚えた魔法で、あるモンスターを召喚した。
それは、“ソックア”という、ミミズのようなモンスターで、体から高熱を発しているので、攻撃を受けたものは普通のダメージだけでなく熱のダメージも受けてしまう。
これにより再生能力を無効化されるので、トロールにとって天敵のようなモンスターだ。
マイケルは、さらにもう一匹ソックアを召喚して、ヒルトロールに立ち向かわせた。怒りに燃えているスタブを先頭に他の者も、ソックアの攻撃で隊列が乱れた所へ斬りかかった。(下図)

ソックアの参戦で多少有利になったとはいえ、ヒルトロ-ル6匹は非常に強力で、正面から斬り合ったダーヨ、ブルーガ、スタブは大きなダメージを受けた。
しかし、ヒルトロールの背後に回ったソックアとフランキングをとって1匹また1匹と確実に倒していった。
そして、激戦の後に何とかヒルトロールの一団を全滅させた。スタブは、モーリの仇が討てたと感涙にむせんでいた。
別離
一行は、スタブが先頭に立ってストーンブリッジの街へ意気揚々と入っていった。
ストーンブリッジは防壁をめぐらせた赤水川の川岸にある城塞都市で、異教平原と対岸のダークウッドの森を結ぶ橋を守る位置にある。
上機嫌のスタブは、道行く多くのドワーフの友達に挨拶をかわしていたが、いずれも生返事が帰ってきただけだった。
どういうわけか街全体に重苦しい雰囲気が漂っている。この状況を不審に思って、道行くドワーフに尋ねてみたところ、ドワーフ王ジリブランが持つ噂に名高いウォーハンマーが、何者かに盗まれたらしいことが判った。
その話を聞いたスタブは、ショックを受けたようだったが、すぐに気を取り直し、一行をスタブの古い友人のビッグフットが営む“鍛冶場の炉亭”という宿屋に案内してくれた。
ここで、一行は久々にまともな食事とビールにありつけた。食事の途中、宿の主のビッグフットが一行のテーブルに顔を見せたので、街の噂についての詳細を聞いてみた。
ビッグフットの話によると、どこからか飛んできた1羽の鷲が、ジリブラン王のウォーハンマーをさらっていき、それをダークウッドの森のどこかに落としたとのことだった。
それを聞いたスタブは、声を張り上げた。
「それならビッグフットよ、俺たちで見つけなきゃいけないぜ。さぁ急がないと!」
そう言うとスタブは席を立ち、一行に別れを告げた。全員が、ウォーハンマーの捜索は“いにしえの死の呪文”を解いてからにしようと説得したが、スタブは頑なにそれを拒んだ。
「この世には命よりも大切なものがあり、ドワーフにとって名誉とはまさにそうした大切なものだ。ジリブラン王のウォーハンマーがなければ、我々ドワーフの名誉は地に落ちてしまう。儂にはそんなことは耐えられん」
スタブはそう言うと、一行全員に1枚ずつ古い銀貨を手渡した。
「これはドワーフ族に伝わる幸運の銀貨だ。機会がある度に集めていたのだが、これのおかげで、儂はこれまで幸運に恵まれてきた。なに、気にするな。儂の分もまだ残っておる。皆の健闘を祈っておるぞ」
そして、スタブはビッグフットと共に去っていった。残された一行は、その背中を見送ることしかできなかった。
スタブが去ったすぐ後、突然赤速が苦しみだした。赤速は、顔に脂汗を浮かべて消え入りそうな声でつぶやいた。
「“いにしえの死の呪文”が効いてきたようだ。もう時間がない。早く月岩山地にたどり着かねば」
その声は、次第に聞き取りづらくなってきた。赤速は立ち上がったが、よろけて、かろうじてテーブルにつかまって体を支えた。
「お願いだ、急ごう」
赤速は、そう言うとよろけながら、扉に向かい、店の外に出た。一行はあわててその後を追った。
(続 く)
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プレイヤーの声
3回目のセッションは、ここまででした。
一行は、何とかストーンブリッジまでたどり着きましたが、ここでNPC漫才コンビの片割れスタブと別れることになりました。
相方の赤速も、“いにしえの死の呪文”の効果で様子がおかしくなってきました。果たしてこの先どうなるのか、次回を乞うご期待といったところです。
しかし、この赤速は夜営の時にワーウルフに噛まれて、ライカンスローピーにも感染しました。“古の死の呪文”もそうですが、これも早いうちに治療しないと、狼エルフになってしまいます。赤速の受難は、まだまだ続きそうです。
だが、これはD&D3eゆえに起こる現象で、かつての赤箱(D&Dベーシックルール)では、ライカンスローピーは、人間だけが罹る病気で、デミヒューマン(エルフ、ドワーフ、ハーフリング)は、ライカンスロープにはならず、ライカンスロープからのダメージが総ヒットポイントの半分を超えた時点で、即死となっていました。
これも過酷なルールでしたが、ライカンスロープになるのも、その後を考えると、ひどいものです。
旧D&Dシリーズでは、PC4“ナイトハウラー”という追加モジュールで、ライカンスロープPCの作り方がありましたし、その昔にあった某D&Dリプレイでも、ライカンスロープに罹った半分PC化したNPCを連れて歩いていたパーティもありました。
その時のPCは、ライカンスロープも便利だと言っていましたが、まっとうな人間なら望んでなるものではありません。
やはり、“一人に一個ウルフスベイン(トリカブト)”といったところでしょうか。
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